【2026年4月女性活躍推進法改正】情報公表義務の拡大について解説

はじめに

2026(令和8)年4月1日施行の女性活躍推進法の改正により、常時雇用する労働者数が301人以上の企業に対して、新たに「管理職に占める女性労働者の割合」に関する情報を公表することが義務付けられ、常時雇用する労働者数が101人以上300人以下の企業に対して、新たに「男女の賃金の差異」と「管理職に占める女性労働者の割合」に関する情報を公表することが義務付けられました(女性の職業生活における活躍の推進に関する法律に基づく一般事業主行動計画等に関する省令の一部を改正する省令/令和7年12月23日厚生労働省令第125号)。

女性活躍推進法とは

女性活躍推進法とは

「女性活躍推進法」は、職場における女性が活躍しやすい環境づくりを目的として、2016(平成28)年4月1日に施行されました。

もともとは、法律の有効期限は、2026(令和8)年3月31日までとされていましたが、現在では、2036(令和18)年3月31日までに延長されています。

法律の施行当初は、常時雇用する労働者数が301人以上の企業が対象とされていましたが、その後の法改正により、2022(令和4)年4月1日以降は、常時雇用する労働者数が101人以上の企業にまで対象が拡大されています(ただし、取り組みの内容は異なります)。

女性活躍推進法に基づく取り組み

女性活躍推進法では、企業に対して、次の3つの取り組みを行うことを義務付けています。

女性活躍推進法に基づく3つの取り組み

  1. 自社における女性の活躍に関する「状況把握・課題分析
  2. 1.の課題を解決するのにふさわしい数値目標や取組内容などを盛り込んだ行動計画として、「一般事業主行動計画」を策定・届出・周知・公表
  3. 自社の女性の活躍に関する「情報の公表

今回の改正により、上記3.において、公表が義務付けられる項目が追加されます。

改正の内容【常時雇用する労働者数が301人以上の企業】

改正前

改正前は、常時雇用する労働者数が301人以上の企業が公表すべき情報は、次のA.とB.からそれぞれ1項目を選択し、必須項目のC.を加えた、3項目以上の情報開示が必要とされていました。

【女性の活躍に関する情報公表の対象(改正前)】

A.女性労働者に対する職業生活に関する機会の提供(①から⑧までの8項目から、任意の1項目を選択)B.職業生活と家庭生活との両立に資する雇用環境の整備(①から⑦までの7項目から、任意の1項目を選択)
①採用した労働者に占める女性労働者の割合①男女の平均継続勤務年数の差異
②男女別の採用における競争倍率②10事業年度前およびその前後の事業年度に採用された労働者の男女別の継続雇用割合
③労働者に占める女性労働者の割合③男女別の育児休業取得率
④係長級にある者に占める女性労働者の割合④労働者の1ヵ月あたりの平均残業時間
⑤管理職に占める女性労働者の割合⑤雇用管理区分ごとの労働者の1ヵ月あたりの平均残業時間
⑥役員に占める女性の割合⑥有給休暇取得率
⑦男女別の職種または雇用形態の転換実績⑦雇用管理区分ごとの有給休暇取得率
⑧男女別の再雇用または中途採用の実績
C.【必須項目】男女の賃金の差異

改正後

改正により、これまでは選択項目のひとつとされていた「管理職に占める女性労働者の割合(上記⑤)」について、情報の公表が必須となります

これにより、企業には4項目以上の情報開示が求められます。

【女性の活躍に関する情報公表の対象(改正後)】

A.女性労働者に対する職業生活に関する機会の提供(①から⑦までの7項目から、任意の1項目を選択)B.職業生活と家庭生活との両立に資する雇用環境の整備(①から⑦までの7項目から、任意の1項目を選択)
①採用した労働者に占める女性労働者の割合①男女の平均継続勤務年数の差異
②男女別の採用における競争倍率②10事業年度前およびその前後の事業年度に採用された労働者の男女別の継続雇用割合
③労働者に占める女性労働者の割合③男女別の育児休業取得率
④係長級にある者に占める女性労働者の割合④労働者の1ヵ月あたりの平均残業時間
⑤役員に占める女性の割合⑤雇用管理区分ごとの労働者の1ヵ月あたりの平均残業時間
⑥男女別の職種または雇用形態の転換実績⑥有給休暇取得率
⑦男女別の再雇用または中途採用の実績⑦雇用管理区分ごとの有給休暇取得率
C.【必須項目】男女の賃金の差異
D.【必須項目】管理職に占める女性労働者の割合

【図】情報の公表項目の比較

区分改正前改正後
女性労働者に対する職業生活に関する機会の提供に関する実績A.8項目から1項目を選択する(選択項目)
C.男女の賃金の差異(必須項目)
A.項目から1項目を選択する(選択項目)
C.男女の賃金の差異(必須項目)
【追加】D.管理職に占める女性労働者の割合(必須項目)
職業生活と家庭生活との両立に資する雇用環境の整備に関する実績B.7項目から1項目を選択する(選択項目)B.7項目から1項目を選択する(選択項目)

改正の内容【常時雇用する労働者数が101人以上300人以下の企業】

改正前

常時雇用する労働者数が101人以上300人以下の企業は、301人以上の企業と比べて公表の負担が軽減されており、A.とB.の計16項目のうち、任意の1項目以上の情報公表が必要とされていました。

【女性の活躍に関する情報公表の対象(改正前)】

A.女性労働者に対する職業生活に関する機会の提供(B.と合わせた16項目から、任意の1項目を選択)B.職業生活と家庭生活との両立に資する雇用環境の整備(A.と合わせた16項目から、任意の1項目を選択)
①採用した労働者に占める女性労働者の割合①男女の平均継続勤務年数の差異
②男女別の採用における競争倍率②10事業年度前およびその前後の事業年度に採用された労働者の男女別の継続雇用割合
③労働者に占める女性労働者の割合③男女別の育児休業取得率
④係長級にある者に占める女性労働者の割合④労働者の1ヵ月あたりの平均残業時間
⑤管理職に占める女性労働者の割合⑤雇用管理区分ごとの労働者の1ヵ月あたりの平均残業時間
⑥役員に占める女性の割合⑥有給休暇取得率
⑦男女別の職種または雇用形態の転換実績⑦雇用管理区分ごとの有給休暇取得率
⑧男女別の再雇用または中途採用の実績
⑨男女の賃金の差異

改正後

改正により、これまでは選択項目のひとつとされていた「管理職に占める女性労働者の割合(上記⑤)」と「男女の賃金の差異(上記⑨)」について、情報の公表が必須となります

これにより、企業には3項目以上の情報開示が求められます。

【女性の活躍に関する情報公表の対象(改正後)】

A.女性労働者に対する職業生活に関する機会の提供(B.と合わせた14項目から、任意の1項目を選択)B.職業生活と家庭生活との両立に資する雇用環境の整備(A.と合わせた14項目から、任意の1項目を選択)
①採用した労働者に占める女性労働者の割合①男女の平均継続勤務年数の差異
②男女別の採用における競争倍率②10事業年度前およびその前後の事業年度に採用された労働者の男女別の継続雇用割合
③労働者に占める女性労働者の割合③男女別の育児休業取得率
④係長級にある者に占める女性労働者の割合④労働者の1ヵ月あたりの平均残業時間
⑤役員に占める女性の割合⑤雇用管理区分ごとの労働者の1ヵ月あたりの平均残業時間
⑥男女別の職種または雇用形態の転換実績⑥有給休暇取得率
⑦男女別の再雇用または中途採用の実績⑦雇用管理区分ごとの有給休暇取得率
C.【必須項目】男女の賃金の差異
D.【必須項目】管理職に占める女性労働者の割合 

【図】情報の公表項目の比較

区分改正前改正後
女性労働者に対する職業生活に関する機会の提供に関する実績A.とB.を合わせた16項目から1項目を選択する(選択項目)A.とB.を合わせた14項目から1項目を選択する(選択項目)
【追加】B.男女の賃金の差異(必須項目)
【追加】D.管理職に占める女性労働者の割合(必須項目)
職業生活と家庭生活との両立に資する雇用環境の整備に関する実績A.とB.を合わせた14項目から1項目を選択する(選択項目)

常時雇用する労働者数が100人以下の企業

常時雇用する労働者数が100人以下の企業については、情報の公表は努力義務(法律で義務付けられてはいないものの、実施することが望ましい)とされており、この点については、改正はありません。

管理職に占める女性労働者の割合

情報公表の必須項目となる「管理職に占める女性労働者の割合」は、次の計算によって算出します。

管理職に占める女性労働者の割合

女性の管理職数÷管理職数×100(%)

「管理職」とは、「課長級」と「課長級より上位の役職(役員を除く)」にある者の合計をいいます

また、「課長級」とは、以下のいずれかに該当する者をいいます。

  • 事業所で通常「課長」と呼ばれている者であって、2係以上の組織からなり、もしくは、その構成員が10人以上(課長含む)の長である者
  • 同一事業所において、課長の他に、呼称、構成員に関係なく、その職務の内容および責任の程度が「課長級」に相当する者(ただし、一番下の職階ではないこと)

なお、一般的に、「課長代理」、「課長補佐」と呼ばれている者は、「課長級」に該当しないものと解されます。

男女の賃金の差異

情報公表の必須項目となる「男女の賃金の差異」は、求職者などの外部の者に対して、比較可能な企業情報を提供するという目的から、すべての企業が共通の方法で数値を公表する必要があり、ポイントは次のとおりです。

男女の賃金の差異の公表方法

  • 賃金の差異は、男性労働者の賃金の平均に対する、女性労働者の賃金の平均を割合(パーセント)で示すこと
  • 「全労働者」「正規雇用労働者」「非正規雇用労働者」の3区分での公表が必要となること

男女の賃金差異の具体的な算出方法・手順については、厚生労働省の資料「女性活躍推進法に基づく男女の賃金の差異の情報公表について(2022年12月28日更新)」に従って算出することとなります。

最終的な公表のイメージは次のとおりです。

従業員の区分男女の賃金の差異
(男性の賃金に対する女性の賃金の割合)
※小数点第2位を四捨五入し、小数点第1位まで表示する
全労働者XX.X%
正社員YY.Y%
パート・有期契約社員ZZ.Z%

【付記事項(例)】※計算の前提とした重要事項(対象期間、対象労働者の範囲、賃金の範囲など)を付記する。対象期間については、記載が必須とされる。

・対象期間:●事業年度(●年4月1日から●年3月31日まで)【必須】

・正社員の定義:社外への出向者を除く

・パート・有期契約社員の定義:契約社員、アルバイト、パート、嘱託を含み、派遣社員を除く

・賃金の定義:基本給、超過労働に対する報酬、賞与等を含み、退職手当、通勤手当を除く

改正による対応期限

今回の改正を受けて、企業が新たな情報の開示すべきタイミングは、法律の施行後(2026年4月1日)、最初に終了する事業年度の実績について、その次の事業年度の開始後、おおむね3ヵ月以内に公表することとされています

例えば、事業年度が3月末に終了する企業の場合、2026年4月から2027年3月末までの事業年度における情報をもとに「管理職に占める女性労働者の割合」や「男女の賃金の差異」を算定し、当該情報を2027年6月末までには開示する必要があります。