「育児」と仕事の両立のための制度(育児休業・出生時育児休業・看護休暇・所定外労働の制限・時間外労働の制限・深夜業の制限・所定労働時間の短縮措置)を解説【育児・介護休業法】

■はじめに

育児・介護休業法では、従業員が、仕事と子の育児を両立しながら働き続けることを支援するための制度として、育児休業、出生時育児休業、看護休暇、所定外労働の制限、時間外労働の制限、深夜業の制限、所定労働時間の短縮措置が定められています。

子の育児を行う従業員は、これらの制度の内容を理解しておき、仕事の状況などを考慮しつつ、適切に制度を選択していくことが必要となります。

育児休業

育児休業とは

育児休業」とは、従業員が、原則として1歳に満たない子を養育するために取得する休業をいいます(育児・介護休業法第5条)。

休業期間

原則

育児休業は、原則として、子が1歳に達するまでの連続した期間であることが必要です。

例外(延長)

保育所などへの入所を希望しているものの、入所できない場合などの特別な事情がある場合には、育児休業期間を子が1歳6ヵ月に達するまで、または2歳に達するまで延長することができます。

取得回数

育児休業は、1子につき2回まで取得することができます。

ただし、子が1歳以降の休業については、子が1歳までの育児休業とは別に、1回ずつ取得することができます。

出生時育児休業

出生時育児休業とは

出生時育児休業」とは、産後休業をしていない従業員(主に父親)が、原則として出生後8週間以内の子を養育するためにする休業をいいます(育児・介護休業法第9条の2)。

休業期間

出生時育児休業は、原則として子の出生後8週間以内の期間内で、通算4週間(28日)まで休業することができます。

取得回数

子1人につき、28日を限度として、休業を2回に分割することができます

なお、休業を2回に分割する場合は、初回にまとめて申し出る必要があります。

看護休暇

看護休暇とは

看護休暇」とは、小学校就学の始期に達するまでの子を養育する従業員について、病気・けがをした子の看護、または子に予防接種・健康診断を受けさせるために取得する休暇をいいます(育児・介護休業法第16条の5)。

看護休暇の取得日数

看護休暇は、子が1人の場合は年5日まで、子が2人以上の場合は年10日まで取得することができます。

看護休暇の取得単位

看護休暇は、1日または1時間単位で取得することができます。

育児休業、出生時育児休業、看護休暇の比較

 育児休業出生時育児休業看護休暇
制度の内容原則として1歳に満たない子を養育するために取得する休業原則として出生後8週間以内の子を養育するためにする休業(父親)小学校就学の始期に達するまでの子について、病気・けがをした子の看護、または子に予防接種・健康診断を受けさせるために取得する休暇
取得回数・期間・子が1歳に達するまで(原則)
・子1人につき、2回まで(原則)
・通算4週間(28日)まで
・子1人につき、2回まで
・子が1人の場合は年5日まで
・子が2人以上の場合は年10日まで
取得単位1日1日1日または1時間
申請期限開始予定日の1ヵ月前まで開始予定日の2週間前までなし
対象外の従業員(原則)・日々雇用される者
・子が1歳6ヵ月(2歳までの休業の場合は2歳)を経過する日までに契約期間が満了し、更新されないことが明らかな者
・日々雇用される者
・産後休業を取得した者
・子の出生日または出産予定日のいずれか遅い方から起算して8週間を経過する日の翌日から6ヵ月を経過する日までに契約期間が満了し、更新されないことが明らかな者
・日々雇用される者
対象外の従業員(労使協定を締結した場合)・入社1年未満の者
・申出の日から1年(1歳以降の休業の場合は、6ヵ月)以内に雇用関係が終了する者
・1週間の所定労働日数が2日以下の者
・入社1年未満の者
・8週間以内に雇用関係が終了する者
・1週間の所定労働日数が2日以下の者
・入社6ヵ月未満の者
・1週間の所定労働日数が2日以下の者

所定外労働の制限

所定外労働の制限とは

所定外労働の制限」とは、3歳に満たない子を養育する従業員が、その子を養育するために申請した場合に、会社が所定外労働(残業)を免除することをいいます(育児・介護休業法第16条の8)。

「所定外労働」とは、いわゆる「残業」であり、就業規則などで定められている勤務時間(始業時刻から終業時刻まで働いた時間、いわゆる「定時」)を超える時間に労働することをいいます。

利用期間

1回につき、1ヵ月以上1年以内の期間について利用することができます。

利用回数

利用回数の制限はありません。

申請期限

所定外労働の制限は、原則として、開始予定日の1ヵ月前までに、書面によって請求する必要があります。

時間外労働の制限

時間外労働の制限とは

時間外労働の制限」とは、小学校就学の始期に達するまでの子を養育する従業員が、その子を養育するために申請をした場合、会社は1ヵ月について24時間、1年について150時間を超える法定時間外労働をさせてはならないことをいいます(育児・介護休業法第17条)。

「時間外労働」とは、労働基準法で定める法定労働時間(原則として1日8時間、1週間40時間)を超える時間に労働することをいいます。

利用期間

1回につき、1ヵ月以上1年以内の期間について利用することができます。

利用回数

利用回数の制限はありません。

申請期限

時間外労働の制限は、原則として、開始予定日の1ヵ月前までに、書面によって請求する必要があります。

深夜業の制限

深夜業の制限とは

深夜業の制限」とは、小学校就学の始期に達するまでの子を養育する従業員が、その子を養育するために申請をした場合、会社は深夜の時間帯について労働をさせてはならないことをいいます(育児・介護休業法第19条)。

「深夜業」とは、労働基準法で定める深夜の時間帯(午後10時から午前5時まで)に労働することをいいます。

ただし、保育ができる同居の家族がいる従業員については、制度を利用することができません。

「保育ができる同居の家族」とは、16歳以上であって、次のいずれにも該当する者をいいます。

  • 深夜に就労していないこと(深夜の就労日数が1ヵ月につき3日以下の者を含む)
  • 負傷、疾病または心身の障害により保育が困難でないこと
  • 6週間(多胎妊娠の場合は14週間)以内に出産する予定であるか、または産後8週間を経過しない者でないこと

利用期間

1回につき、1ヵ月以上6ヵ月以内の期間について利用することができます。

利用回数

利用回数の制限はありません。

申請期限

深夜業の制限は、原則として、開始予定日の1ヵ月前までに、書面によって請求する必要があります。

所定外労働の制限、時間外労働の制限、深夜業の制限の比較

 所定外労働の制限時間外労働の制限深夜業の制限
制度の内容所定外労働(定時を超える労働)をさせない法定時間外労働(1日8時間・1週40時間を超える労働)をさせない深夜の時間帯(午後10時から午前5時まで)に労働させない
対象となる子3歳に満たない子小学校就学の始期に達するまでの子小学校就学の始期に達するまでの子
利用期間1回につき、1ヵ月以上1年以内の期間1回につき、1ヵ月以上1年以内の期間1回につき、1ヵ月以上6ヵ月以内の期間
利用回数制限なし制限なし制限なし
申請期限開始予定日の1ヵ月前まで開始予定日の1ヵ月前まで開始予定日の1ヵ月前まで
対象外の従業員(原則)・日々雇用される者・日々雇用される者
・入社1年未満の者
・1週間の所定労働日数が2日以下の者
・日々雇用される者
・入社1年未満の者
・1週間の所定労働日数が2日以下の者
・所定労働時間の全部が深夜にある者
・保育ができる同居の家族がいる者
対象外の従業員(労使協定を締結した場合)・入社1年未満の者
・1週間の所定労働日数が2日以下の者

所定労働時間の短縮措置(短時間勤務制度)

所定労働時間の短縮措置とは

所定労働時間の短縮措置」とは、会社は、3歳に満たない子を養育する労働者について、従業員が希望すれば利用できる、所定労働時間を短縮することにより、当該労働者が就業しつつ子を養育することを容易にするための措置(短時間勤務制度)を講じなければなりません(育児・介護休業法第23条)。

短時間勤務制度は、1日の所定労働時間を、原則として6時間とする措置を含むものとしなければなりません(育児・介護休業法施行規則第74条第1項)。

なお、「措置を講じている」とは、短時間勤務制度が就業規則等に規定されるなど、制度化された状態になっていることをいい、単に運用されているだけでは不十分と解されます。

対象者

短時間勤務制度の対象となるのは、次のすべてに該当する従業員です。

  • 1日の所定労働時間が6時間以下でないこと
  • 日々雇用される者でないこと
  • 短時間勤務制度が適用される期間に、現に育児休業(出生時育児休業を含む)をしていないこと

また、会社が労使協定を締結している場合には、次の従業員が対象外となる場合があります。

  • 入社1年未満の者
  • 1週間の所定労働日数が2日以下の者
  • 業務の性質または業務の実施体制に照らして、短時間勤務制度を講ずることが困難と認められる業務に従事する者(指針第2の9の(3))

代替措置

会社は、短時間勤務制度について、「業務の性質または業務の実施体制に照らして、短時間勤務制度を講ずることが困難と認められる業務に従事する者」として、労使協定により適用除外とされた従業員に関して、育児休業に関する制度に準ずる措置または「始業時刻変更等の措置」を講じなければなりません。

「始業時刻変更等の措置」としては、次のいずれかの措置があります(育児・介護休業法施行規則第74条第2項)。

始業時刻変更等の措置

  1. フレックスタイムの制度
  2. 始業・終業の時刻を繰り上げ・繰り下げる制度(時差出勤の制度)
  3. 従業員の3歳に満たない子に係る保育施設の設置運営その他これに準ずる便宜の供与

転勤に対する配慮

会社は、従業員について就業場所の変更を伴う配置の変更を行おうとする場合には、その就業場所の変更によって、育児が困難になる従業員がいるときは、当該従業員の育児の状況に配慮しなければなりません(育児・介護休業法第26条)。

なお、転勤の配慮の対象となる従業員が養育する子には、小学生や中学生も含まれると解されます。

不利益取扱いの禁止

会社は、育児休業に関連する制度の申出や取得を理由として、従業員に対して解雇などの不利益な取り扱いをしてはなりません(育児・介護休業法第10条など)。