【外国人雇用・採用】在留資格の確認と労務管理の注意点・ポイントをわかりやすく解説

はじめに

会社の労務管理においては、人手不足を補うため、あるいは海外の技術を利用するためなどの目的で、外国人を雇用する場合があります。

外国人を雇用する場合には、在留資格の問題など、日本人を雇用する場合と比較して、特有の留意点があります。

この記事では、会社が外国人を雇用する場合に留意すべき事項を、主に在留資格と労務管理の観点から解説します(なお、言語や宗教などコミュニケーション上の問題は割愛します)。

外国人と在留資格

外国人と在留資格

「外国人」とは、日本国籍を持っていない人のことをいいます。

日本に滞在する外国人には、旅行者のような一時滞在を除き、原則として、滞在する理由に応じて「在留資格」が与えられています。

在留資格」とは、簡単にいうと、外国人が日本国内で行うことができる活動の種類を類型化して、入局管理局から在留する資格を与えられることをいいます。

在留資格の確認

会社は、外国人を雇入れる際には、当該外国人の在留資格を確認し、そもそも国内で就労することができるのか、どんな仕事で就労することができるのかなどを確認する必要があります。

この確認を怠り、後に不法就労であることが判明した場合には、外国人が出国命令処分や資格外活動罪に該当すると共に、会社が「不法就労助長罪」に該当するとして、3年以下の懲役または300万円以下の罰金が科されるリスクがあります(入管法第73条の2)。

在留資格の種類と就労制限

在留資格を「就労できる・できない」という観点で分類すると、主に次の3つに分類することができます。

なお、与えられた在留資格の活動を一定期間行わない場合(例えば、就労ビザの場合は3ヵ月)、在留資格の取消処分の対象となります(入管法第22条の4)。

在留資格の分類

  1. 就労制限のない在留資格(身分系の在留資格)
  2. 就労制限のある在留資格
  3. 原則、就労できない在留資格

1.就労制限のない在留資格(身分系の在留資格)

外国人のうち、「永住者」「定住者」「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」は、「身分系」の在留資格といわれ、就労制限がありません

したがって、日本人と同様に、どのような仕事に就くことも可能であり、外国人を雇用する際においても、在留資格について特に留意する必要はありません。

なお、例えば、日本人と結婚したことにより当該在留資格を得た場合には、反対に、当該日本人と離婚した場合には身分系の在留資格を失うことになりますので、他の在留資格を取り直す必要があることに留意する必要があります。

2.就労制限のある在留資格

就労を目的として日本に入国した外国人は、就労を目的とする在留資格を取得する必要があります。

就労を目的とする主な在留資格の種類は、次のとおりです。

【就労を目的とする在留資格の種類】

在留資格資格の内容
専門的・技術的分野(就業ビザ)「教育」「研究」「技術・人文知識・国際業務」などがある。分野ごとに職業を指定される(「教育」であれば、中学校・高等学校の語学教師など)
技能実習(就業ビザ)特定の産業分野(農業・漁業など86職種158作業(2022年4月現在))で、一定の講習等を受けた上での活動(1993年創設)(技能実習生)
特定技能(就業ビザ)特定の産業分野(介護・建設・農業・宿泊・外食などの14分野)で一定の技能を有した活動(2019年創設)
高度専門職(高度専門職ビザ)特定の専門的・技術的分野において、ポイント制の評価により、特に高度で専門的な能力を活かした活動(研究者、大学教授など)
特定活動(特定ビザ)法務大臣が個々の外国人について特に指定する活動(ワーキングホリデー入国者など)

例えば、外国人が「通訳」の仕事に就きたい場合に取得する在留資格は、「専門的・技術的分野」のうち、「技術・人文知識・国際業務」となります。

「技術・人文知識・国際業務」の中でも、「システムエンジニア(技術)」「経理(人文知識)」「通訳・翻訳(国際業務)」など、職種が細かく分類されているため、その就労ビザを取得した際の職種の内容を確認する必要があります。

3.原則、就労できない在留資格

在留資格が「留学」「家族滞在」などの一般ビザである場合は、本来の入国・滞在を認めた趣旨から外れることから、原則として就労することはできません

ただし、「資格外活動許可」を得て、条件付きで働くことができる場合があります(入管法第19条第2項)。

例えば、外国人留学生がコンビニや飲食店でアルバイトをするようなケースです。

ただし、許可を得た場合であっても、労働時間の制限(1週間の労働時間が、合計28時間以下であること)や業種の制限(パチンコ店やスナックなど風俗関連の業種は不可)があることに留意する必要があります。

会社は、資格外活動許可を得た外国人を雇用する場合には、労働時間と業種に制限があることに留意する必要があります。

採用・雇用時に必要な準備・手続①(在留資格の確認)

在留資格の確認方法

在留カードによる確認

在留資格を有する外国人は、一時滞在を除き、原則として「在留カード」を所持しています。

在留カード」は、日本に適法に入国し、中長期間滞在する外国人に対して交付される滞在許可証であり、外国人の身分証明書を兼ねるものです。

日本にいる外国人を採用するときは、まず外国人が所持している「在留カード」の提示を求め、チェックをすることが必要です。

在留カードの表面には、在留資格、有効期限などが記載され、裏面には、資格外活動許可(就労不可の場合)が記載されているなど、重要な情報が記載されています。

なお、「短期滞在」など、在留期間が3ヵ月以下の在留資格については、原則として、在留カードが交付されませんが、在留カードが交付されていない外国人を雇用することはできません。

就労資格証明書

在留カードの確認だけでは、在留カードだけで読み取ることができない情報や、カード自体が偽造されている可能性もあります。

このような場合には、外国人から入国管理局に申請することにより、「就労資格証明書」の交付を受けることができます。

就労資格証明書」とは、日本に在留する外国人からの申請に基づき、その外国人が行うことができる収入を伴う事業を運営する活動または報酬を受ける活動(就労活動)を、法務大臣が証明する文書をいいます(入管法第19条の2)。

就労資格証明書は、特に外国人が転職するタイミングに併せて申請することで、転職先で従事する職種と在留資格との関連性を証明する書面として、いわば転職許可証のような役割を果たします(転職前後の職種の関連性がない場合に、不法就労のリスクを回避することができる場合があります)。

旅券(パスポート)

その他、必要に応じて、旅券(パスポート)を確認します。

在留資格変更許可申請手続

外国人の採用に際して、在留資格の変更が必要になることがあります。

例えば、新卒の外国人を採用する場合には、「留学」の在留資格から、就職予定の職種の在留資格に変更するための手続(在留資格変更許可申請手続)が必要になります。

また、転職する外国人が、転職前後で職種に変更が生じる場合にも、同様に在留資格の変更手続が必要となります。

在留資格の変更・更新の審査時には、外国人がその職種に必要な学歴・技術・経験・知識などを有しているかどうかに加えて、雇用主となる会社も審査の対象となり、出入国在留管理局の審査を受けます。

事業の適正性、安定性、継続性などを審査され、在留する外国人のスポンサーとして、信頼に足る会社なのかどうかが判断されます。

採用・雇用時に必要な準備・手続②(労務管理上の手続)

雇用契約書の作成

会社は、法律上、従業員を雇い入れる場合には、書面によって労働条件を通知する義務があり(労働基準法第15条)、このことは外国人であっても同様です。

労働条件の通知は、適正に通知したこと、および通知内容に従業員が合意したことを証明するために、「雇用契約書」として、双方が記名・押印(または署名)する体裁で作成することが望ましいと考えます。

外国人を採用する場合、雇用契約書を母国後で作成したり、翻訳などを添付する義務はありませんが、後日のトラブルを防止するためには、できる限り言語に配慮すべきといえます。

行政(労働局、ハローワーク、外国人雇用サービスセンターなど)では、雇用契約書を外国語に対応させた資料などを提供していますので、そのようなサービスを利用するのもよいでしょう。

外国人雇用状況届出書の提出

会社は、外国人の雇用状況について、雇入れおよび離職のタイミングで、ハローワークに届出することが義務付けられています(雇用対策法第28条)。

違反すると30万円以下の罰金の対象となりますので、手続を忘れないように留意してください(雇用対策法第40条第1項第2号)。

提出期限は、雇用保険に加入する外国人については、雇入日の翌月10日まで、離職日の翌日から10日以内とされています。

一方、雇用保険に加入しない外国人については、雇入日・離職日の翌月末日までとされています。

なお、雇用保険に加入する外国人については、雇用保険の加入・脱退(資格の取得・喪失)の手続をするタイミングで、同時に(同じ申請書で)申請することができ、この場合、外国人雇用状況届出書の提出を省略することができます。

社会保険への加入手続

日本の社会保険制度については国籍要件がなく、外国人であっても、加入する社会保険は日本人と同じです(健康保険、厚生年金保険、介護保険、雇用保険、労災保険の5種類)。

手続面でも、加入時に資格取得届とあわせて「ローマ字氏名届」の提出が必要になること以外は、日本人と同様です。

ただし、稀なケースではありますが、社会保障協定を締結している国の外国人であって、海外の会社に籍を置いたまま来日している場合など、外国にも日本にも二重に社会保険料を納める外国人については、健康保険、厚生年金保険などの支払いが免除される場合があります。

また、外国人にとって日本の社会保険制度は理解しづらい傾向がありますので、理解を得るために丁寧な説明が必要です。

その際、行政(入国管理局や労働基準監督署)が、外国語で制度を説明するパンフレットなどを提供していますので、これらのツールを上手に活用してください。

なお、外国人特有の制度として「脱退一時金」があります。

これは、外国人が日本の年金を受給するために必要な10年の加入期間を満たさない場合に、保険料の掛け捨てにならないよう、帰国時に一時金を受け取ることができる制度です。

社会保険の加入時に説明しておくことで、外国人に安心感・納得感を与えることができるといえます。

採用・雇用後の労務管理上の注意点とポイント

外国人の労働環境の整備

基本的には、外国人に対しても、日本人と同様に労働基準法などの労働関連諸法令が等しく適用されるため、法令遵守の面では、日本人と同様に捉えておけば問題ありません。

ただし、外国人の労務管理においては、厚生労働省が告示する外国人雇用管理指針に従いながら、外国人従業員の労務管理・労働環境の改善に努めることが望ましいとされていますので、一通り目を通しておくことが望ましいといえます(努力義務)。

この指針は、外国人の採用から退職までの労務管理について、会社がとるべき対応をまとめたものです。

【参考】外国人労働者の雇用管理の改善等に関して事業主が適切に対処するための指針

雇用労務責任者の選任

外国人従業員を10人以上雇うときは、外国人の採用から安全衛生、退職までの労務全般を管理する責任者として、雇用労務責任者を選任しなければなりません。

定期的な在留資格の確認

在留期間の満了後も就労することは、不法就労に該当します。

会社は、外国人の雇入れ後も、在留カードの有効期限を把握しておき、更新手続が適切に行われているか、定期的に確認する必要があります。

副業

外国人に対して副業を容認する場合には、外国人は在留資格によって就労範囲を制限されることに留意し、どのような副業をする予定なのかを会社が事前に確認する必要があります。

配置転換

配置転換(異動)についても、日本人と同様に雇用契約書および就業規則に基づき行うことができますが、ここでも在留資格によって、異動後の職務内容に制限が生じることに留意する必要があります。

なお、外国人に対して行った人事異動について、出入国在留管理局に異動内容を届け出る義務はありません。

人事異動が在留資格の活動範囲に収まるのかどうかの見極めが難しいときは、事前に出入国在留管理局に相談することが望ましく、さらに異動が適当かどうか判断を仰ぐのであれば、就労資格証明書の交付を受けるとよいといえます。