「休日」に関する就業規則の規定例(記載例)をまとめて解説(法定休日、振替休日、代休、休日労働命令など)

就業規則における「休日」の定め

「休日」とは、労働契約に基づき、従業員が労働する義務を負わない日のことをいいます。

休日は、従業員にとって重要な労働条件であることから、就業規則において、必ず記載しなければならない事項(絶対的記載事項)とされています(労働基準法第89条第1号)。

この記事では、休日に関する就業規則の規定例(記載例)を解説します。

休日に関する就業規則の規定例(記載例)

一般的な例(休日を具体的に特定する場合)

休日に関する規定例①(休日を具体的に特定する場合)

(会社の休日)

第●条 会社の休日は、次のとおりとする。【注1】【注2】

一、毎週土曜日

二、毎週日曜日

三、国民の祝日に関する法律に定める国民の祝日

四、夏季休暇【注3】

五、年末年始休暇(12月31日から翌年1月3日までの4日間)

六、創立記念日

七、その他会社が指定する日

【注1】休日の曜日

労働基準法では、何曜日を休日とするかについて規制はないため、1週間の中で何曜日を休日としてもよく、また、週によって異なる曜日を休日とすることもできます。

さらに、勤務の実態に合わせて、従業員ごとに、異なる日に交替で休日を与えることもできます。

【注2】年間休日数にかかる記載

就業規則に年間休日数について定める場合には、例えば、「会社の休日は次のとおりとし、年間で合計110日とする。」などと記載します。

【注3】夏季休暇

・夏季休暇を特別休暇とする場合

夏季休暇について、会社が指定した期間内に、従業員の申請に基づき一定日数を付与する場合の規定例(記載例)は次のとおりです。

夏季休暇の規定例(特別休暇)

(夏季休暇)
第●条 毎年7月1日から9月30日までの3ヵ月間を夏季休暇の取得期間として、会社が指定する日数の夏季休暇(特別休暇)を付与する。夏季休暇の取得手続および賃金は、年次有給休暇の取得にかかる規定を準用する。

・夏季休暇を年次有給休暇の計画的付与とする場合

夏季休暇について、年次有給休暇の計画的付与(労働基準法第39条第6項)に基づき、会社で一斉に休業する場合の規定例(記載例)は次のとおりです。

夏季休暇の規定例(計画的付与)

(夏季休暇)
第●条 毎年8月のうち3日間は、夏季休暇として、年次有給休暇を一斉に付与する期間とする。付与する時季および日数は、労使協定によって定めるものとする。
2 前項の労使協定で定められた夏季休暇の日は一斉休業とし、従業員の個人的事情により変更することはできないものとする。

休日を具体的に特定しない場合

休日について、曜日や日付などを就業規則で具体的に特定せず、勤務カレンダーやシフトなどによって定める場合の規定例(記載例)は次のとおりです。

年間勤務カレンダーによって休日を指定する場合

休日に関する規定例②(年間勤務カレンダーによって休日を指定する場合)

(会社の休日)

第●条 会社の休日数は、年間で合計110日とし、具体的な休日は、毎年4月1日を始期とする年間勤務カレンダーによって会社が指定する。

2 前項の休日は、月曜日を起算日とする各週につき、毎週少なくとも1日以上の休日を確保することとする。

3 第1項の年間勤務カレンダーは、毎年3月1日までに全従業員に周知することとする。

各月のシフトによって休日を指定する場合

休日に関する規定例③(各月のシフトによって休日を指定する場合)

(休日)

第●条 シフト制により勤務する従業員の休日は、各月の勤務シフト表において定める。

2 勤務シフト表で定める休日は、原則として、月曜日を起算日とする各週につき1日以上、かつ各月につき8日以上の休日を確保することとする。

3 第1項に定める各月の勤務シフト表は、前月末日までに、対象従業員に周知することとする。

1年単位の変形労働時間制の場合

休日に関する規定例④(1年単位の変形労働時間制の場合)

(休日)

第●条 1年単位の変形労働時間制の適用を受ける従業員の休日は、年間休日カレンダーにおいて定める。

2 年間休日カレンダーにおいて定める休日は、対象期間の初日を起算日とする1週間ごとに1日以上とし、1年間で合計110日以上となるように定める。

3 前項の年間休日カレンダーは、少なくとも対象期間の初日の30日前までに対象従業員に周知することとする。

法定休日に関する就業規則の規定例(記載例)

労働基準法では、原則として、毎週少なくとも1日の休日を与えなければならないと定めており、この休日のことを「法定休日」といいます(労働基準法第35条第1項)。

法定休日の特定は法律上の義務ではないことから、法定休日の曜日を特定していないとしても、結果的に1週間に1日の休日が確保されていれば、問題ありません。

法定休日については、次の記事をご覧ください。

【労働基準法】「法定休日」とは?労務管理における法定休日の留意点(休日労働、特定の必要性など)を解説

法定休日を特定する場合の規定例(記載例)

法定休日を特定する場合の規定例(記載例)は次のとおりです。

法定休日に関する規定例①(法定休日を特定する場合)

(法定休日)

第●条 休日については、月曜日を起算日とする日曜日までを1週間とし、毎週日曜日を法定休日とする。

2 従業員が法定休日に労働した場合には、別に定める賃金規程に基づき、割増賃金を支払う。

法定休日を特定しない場合の規定例(記載例)

例えば、休日を土曜日と日曜日とする完全週休2日制のもと、会社が法定休日を特定しない場合において、従業員が土曜日と日曜日の両方に労働した場合には、基本的に、暦週(日曜日から起算し、土曜日までの1週間をいう)のうち、当該暦週において後順に位置する土曜日における労働を法定休日労働として取り扱うべきと解されています(平成21年10月5日「改正労働基準法に係る質疑応答(厚生労働省)」)(昭和63年1月1日基発1号)。

ただし、就業規則によって、これと異なる定めをすることは問題ありません。

法定休日に関する規定例②(法定休日を特定しない場合)

(法定休日)

第●条 休日については、月曜日を起算日とする日曜日までを1週間とし、毎週の休日のうち休日労働のない最後の日、またはすべての休日を労働した場合の最後の労働した日を法定休日とする。

2 従業員が法定休日に労働した場合には、別に定める賃金規程に基づき、割増賃金を支払う。

変形休日制による場合

法定休日は、例外として、「4週間を通じて4日以上」の休日を与える場合には、毎週少なくとも1日の休日を与える必要はないとされており、このような法定休日の与え方を「変形休日制」といいます(労働基準法第35条第2項)。

法定休日に関する規定例③(変形休日制による場合)

(会社の休日)

第●条 会社の休日は年間で合計110日とし、4週間を通じて4日を与えることとする。

2 前項の4週間の起算日は、当該年度の4月1日とする。【注4】

【注4】起算日の定め

変形休日制を採用する場合には、就業規則などで変形休日制を採用する旨を記載したうえで、4週間の起算日を定める必要があります(労働基準法施行規則第12条の2第2項)。

休日の振り替え(振替休日)に関する就業規則の規定例(記載例)

「振替休日」とは、従業員が休日に労働する場合において、休日労働の代わりとして、あらかじめ、別の労働日を休日として指定することをいいます。

振替休日は、会社が当然に命じることができるものではなく、労働契約上の根拠がある場合に認められるものと解されるため、就業規則によって、その旨を定めておく必要があります。

振替休日については、次の記事をご覧ください。

【労働基準法】「振替休日」と「代休」の違いと、労務管理上の留意点を解説

振替休日に関する規定例

(休日の振替)

第●条 会社は、業務の都合、会社行事その他必要があると認める場合には、休日を他の日に振り替えることができる。

2 前項の場合、会社は従業員に対し、振替の通知を、対象となる休日または労働日の前日までに行うこととする。

3 第1項の振り替えは、できる限り、月曜日を起算日とする同一週内の日を指定するものとする。【注5】

4 やむを得ずあらかじめ振替休日を指定できないときは、代休を取得することとする。

5 当初休日とされた日に労働する場合、当該日は通常の労働日として、所定労働時間により業務を行わなければならない。

6 振替休日の指定は、振替休日申請書によるものとし、原則として、一度申請した振替休日の再振替は認めないものとする。

【注5】振替日について

休日を振り替えた結果、1週の労働時間が法定労働時間(原則として1週40時間)を超える場合には、会社は従業員に対して割増賃金を支払う必要があります。

休日労働について割増賃金を生じさせないためには、同じ週内で振り替える必要があります。

代休に関する就業規則の規定例(記載例)

「代休」とは、従業員が休日に労働をした場合において、その代償として、会社が別の労働日を休日として指定することをいいます。

代休は、会社が当然に命じることができるものではなく、労働契約上の根拠がある場合に認められるものと解されるため、就業規則によって、その旨を定めておく必要があります。

代休に関する規定例

(代休)

第●条 会社は、従業員が休日において、所定労働時間以上労働した場合には、会社の判断により、当該日から1ヵ月以内に代休を与えることがある。

2 前項の代休は無給とする。

3 第1項の代休が付与された場合、法定休日労働については、労働基準法所定の割増賃金のうち割増部分(3割5分)のみを支払う。また、所定休日労働によって法定労働時間を超える場合(法定時間外労働)については、労働基準法所定の割増賃金のうち割増部分(2割5分)のみを支払う。【注6】

【注6】割増賃金の支払義務

会社が代休を与えた場合でも、「休日労働をした」という事実に変わりはないことから、休日労働によって割増賃金の支払い義務が生じる場合には、会社が代休を与えたとしても、当該割増賃金の支払い義務を免れることはできません。

休日労働命令に関する就業規則の規定例(記載例)

休日労働は、会社が当然に命じることができるものではなく、労働契約上の根拠がある場合に認められるものと解されるため、就業規則によって、その旨を定めておく必要があります。

休日労働命令に関する規定例

(休日労働命令)

第●条 会社は、従業員に対し、業務上の都合により、労働基準法第36条の定める労使協定の範囲内で、休日労働を命じることがある。休日労働を命じられた従業員は、休日労働の時間数等を休日労働申請書により提出しなければならないこととする。

2 従業員が、業務上の必要性により、前項の命令によらずに休日労働を行う場合には、原則として事前に、やむを得ない場合には事後速やかに、休日労働申請書により上長の許可を受けなければならない。この場合において、当該許可を得ずに行われた休日労働については、会社は当該時間を休日労働と認めない。

3 会社は、災害その他非常災害が生じたときは、第1項にかかわらず、従業員に対し、休日労働を命じることがある。この場合には、事前に労働基準監督署の許可を受け、または届出を行うものとする。【注7】

4 従業員が休日労働をした場合には、賃金規程の定めるところにより、休日労働手当を支払う。

【注7】災害時の休日労働

災害その他避けることのできない事由によって、臨時の必要がある場合には、会社は、36協定の締結の有無やその内容に関わらず、休日労働を命じることができます(労働基準法第33条第1項)。

このとき、原則として、事前に労働基準監督署長の許可が必要ですが、事態急迫のために許可を受ける時間的余裕がない場合には、事後に遅滞なく届け出ることも認められます。