【女性活躍推進法】一般事業主行動計画の届出と、情報公表義務を解説(従業員数101人以上の企業の向け)

はじめに

女性活躍推進法(女性の職業生活における活躍の推進に関する法律)では、常時雇用する労働者数が101人以上の企業に対し、一般事業主行動計画の届出と、自社の女性の活躍に関する情報の公表を行うことなどを義務付けています(女性活躍推進法第8条)。

本稿では、女性活躍推進法に基づき、労働者数が101人以上の企業が取り組むべき内容を解説します。

女性活躍推進法とは

女性活躍推進法」とは、女性の職業生活における活躍の推進を目的として、国、地方公共団体および事業主の責務を定めた法律です(女性活躍推進法第1条)。

女性活躍推進法は、2016(平成28)年4月1日から10年間の時限立法として施行され、その後の法改正により、現在では、2036(令和18)年3月31日まで延長されています。

また、法律の施行当初は、常時雇用する労働者数が301人以上の企業が対象とされていましたが、その後の法改正により、現在では、常時雇用する労働者数が101人以上の企業にまで対象が拡大されています(ただし取り組みの内容は異なります)。

女性活躍推進法に基づく取り組み

女性活躍推進法では、企業に対し、主に次の3つの取り組みを行うことを義務付けています。

女性活躍推進法に基づく3つの取り組み

  1. 自社における女性の活躍に関する「状況把握・課題分析
  2. 1.の課題を解決するのにふさわしい数値目標や取組内容などを盛り込んだ行動計画として、「一般事業主行動計画」を策定・届出・周知・公表
  3. 3.自社の女性の活躍に関する「情報の公表

以下、順に解説します。

1.状況把握・課題分析

常時雇用する労働者数が301人以上の企業

次の5つの基礎項目について、自社の女性活躍の状況を把握する必要があります(女性活躍推進法第8条第3項)。

状況把握を行う基礎項目

(1)採用した労働者に占める女性労働者の割合

(2)男女の平均継続勤務年数の差異

(3)労働者の各月ごとの平均残業時間数等の労働時間(健康管理時間)の状況

(4)管理職(※)に占める女性労働者の割合

(5)男女間賃金差異

(※)「管理職」とは、課長級および課長級より上位の役職(役員を除く)にある労働者の合計をいいます。

常時雇用する労働者数が101人以上300人以下の企業

上記の基礎項目のうち、「(5)男女間賃金差異」の状況を把握する必要があります。

2.一般事業主行動計画

一般事業主行動計画とは

女性活躍推進法では、一般事業主(※)のうち、常時雇用する労働者数が101人以上の企業に対し、「一般事業主行動計画」を策定し、その旨を厚生労働大臣に届け出ると共に、これを公表しなければならないとされています(女性活躍推進法第8条第1項)。

なお、100人以下の事業主は、努力義務とされています(女性活躍推進法第8条第7項)。

(※)「一般事業主」とは、国および地方公共団体以外の事業主をいいます。

一般事業主行動計画の内容

一般事業主行動計画においては、次に掲げる事項を定めるものとされています(女性活躍推進法第8条第2項)。

一般事業主行動計画の内容

(1)計画期間

(2)達成しようとする目標

(3)取組内容およびその実施時期

(1)計画期間

一般事業主行動計画の計画期間については、2035年度(令和17年度)までの期間で、おおむね2年間から5年間に区切り、定期的に行動計画の進捗を検証しながら、改定を行う必要があります(事業主行動計画策定指針第二部第二の三(二))。

(2)達成しようとする目標

・常時雇用する労働者数が301人以上の企業

常時雇用する労働者数が301人以上の企業においては、行動計画を策定する際、原則として、次の①と②の区分ごとに1つ以上の項目を選択し、それぞれ関連する数値目標を定めた行動計画を策定する必要があります

①女性労働者に対する職業生活に関する機会の提供

◆採用・採用した労働者に占める女性労働者の割合

・男女別の採用における競争倍率

・労働者に占める女性労働者の割合

◆配置・育成・教育訓練

・男女別の配置の状況

・男女別の将来の育成を目的とした教育訓練の受講の状況

・管理職および男女の労働者の配置 ・育成・評価・昇進・性別役割分担意識その他の職場風土等に関する意識

◆評価・登用・管理職に占める女性労働者の割合

・各職階の労働者に占める女性労働者の割合および役員に占める女性の割合

・男女別の1つ上位の職階へ昇進した労働者の割合

・男女の人事評価の結果における差異

◆職場風土・性別役割分担意識

・セクシュアルハラスメント等に関する各種相談窓口への相談状況

◆再チャレンジ(多様なキャリアコース)

・男女別の職種または雇用形態の転換の実績

・男女別の再雇用または中途採用の実績

・男女別の職種もしくは雇用形態の転換者、再雇用者または中途採用者を管理職へ登用した実績

・非正社員の男女別のキャリアアップに向けた研修の受講の状況

◆取り組みの結果を図るための指標

・男女間賃金差異

②職業生活と家庭生活との両立に資する雇用環境の整備

◆継続就業・働き方改革

・男女の平均継続勤務年数の差異

・10事業年度前およびその前後の事業年度に採用された労働者の男女別の継続雇用割合

・男女別の育児休業取得率および平均取得期間

・男女別の職業生活と家庭生活との両立を支援するための制度(育児休業を除く)の利用実績

・男女別のフレックスタイム制、在宅勤務、テレワーク等の柔軟な働き方に資する制度の利用実績

・労働者の各月ごとの平均残業時間数等の労働時間(健康管理時間)の状況

・有給休暇取得率

・常時雇用する労働者数が101人以上300人以下の企業

行動計画を策定する際は、1つ以上の数値目標を定める必要があります。

(3)取組内容およびその実施時期

1.の状況把握・課題分析により得られた情報を踏まえ、行動計画の内容およびその実施時期を設定します。

行動計画の届出・公表・周知

行動計画を策定・変更した場合、「一般事業主行動計画策定・変更届」を都道府県労働局雇用環境・均等部(室)に届け出る必要があります。

女性活躍推進法に基づく行動計画と、次世代育成支援対策推進法に基づく行動計画との一体的な策定・届出については、両法に定める要件をいずれも満たし、かつその計画期間を同一とする場合に行うことができます。

次世代育成支援対策推進法については、次の記事をご覧ください

「一般事業主行動計画」とは?従業員数101人以上の企業の取り組み内容を解説【次世代育成支援対策推進法】

さらに、行動計画を策定・変更した場合、外部に公表するとともに、すべての労働者に周知する必要があります(女性活躍推進法第8条第4項)。

認定の取得

企業の自発的な取り組みを促すため、行動計画に定めた目標を達成したなど一定の基準を満たした企業は、申請することにより、「えるぼし認定」、「プラチナえるぼし認定」を受けることができます。

認定を受けた事業主は、厚生労働大臣が定める認定マークを広告やウェブサイト等に付すことができ、女性活躍推進企業であることをPRすることができます。

情報公表義務

常時雇用する労働者数が301人以上の企業

常時雇用する労働者数が301人以上の企業が公表すべき情報は、次のA.とB.からそれぞれ1項目を選択し、必須項目のC.とD.を加えた、4項目以上の情報開示が必要とされています(女性活躍推進法第20条第1項)。

【女性の活躍に関する情報公表の対象】

A.女性労働者に対する職業生活に関する機会の提供B.職業生活と家庭生活との両立に資する雇用環境の整備
①採用した労働者に占める女性労働者の割合①男女の平均継続勤務年数の差異
②男女別の採用における競争倍率②10事業年度前およびその前後の事業年度に採用された労働者の男女別の継続雇用割合
③労働者に占める女性労働者の割合③男女別の育児休業取得率
④係長級にある者に占める女性労働者の割合④労働者の1ヵ月あたりの平均残業時間
⑤役員に占める女性の割合⑤雇用管理区分ごとの労働者の1ヵ月あたりの平均残業時間
⑥男女別の職種または雇用形態の転換実績⑥有給休暇取得率
⑦男女別の再雇用または中途採用の実績⑦雇用管理区分ごとの有給休暇取得率
C.【必須項目】男女の賃金の差異
D.【必須項目】管理職に占める女性労働者の割合

常時雇用する労働者数が101人以上300人以下の企業

常時雇用する労働者数が101人以上300人以下の企業は、301人以上の企業と比べて公表の負担が軽減されており、上記のA.とB.の計16項目のうち、任意の1項目以上を選択し、必須項目のC.とD.を加えた、3項目以上の情報開示が必要とされています(女性活躍推進法第20条第2項)。

常時雇用する労働者数が100人以下の企業

常時雇用する労働者数が100人以下の企業については、情報の公表は努力義務とされています。

公表の方法

公表の方法は、求職者等が閲覧しやすいように、厚生労働省が運営する「女性の活躍推進企業データベース」への掲載が最も適切であることが指針で示されています(事業主行動計画策定指針第二部第二の四(二))。

ただし、自社のホームページへの掲載等も差し支えありません。

罰則

事業主が、一般事業主行動計画の届出または公表をしない場合には、厚生労働大臣は当該事業主に対して報告を求め、または助言・指導・勧告をすることができます(女性活躍推進法第30条)。

厚生労働大臣の求めに対して報告をせず、または虚偽の報告をした者は、罰則として、20万円以下の過料が定められています(女性活躍推進法第39条)。

さらに、厚生労働大臣は、勧告をした場合において、当該勧告を受けた者がこれに従わないときは、その旨を公表することができるとされています(女性活躍推進法第31条)。